内留見聞記3 2002年4月28日(日)

 学習パッケージ開発会議(堀田・笹原班) 東京 東中野セミナープラザ

昨年の11月の小田原、12月の金沢会議に続いて、今回で最終ミーティングになる学習パッケージ開発会議。聖心女子大の永野先生が全国の開発班を全体統括する、質の高い教材セットである学習素材パッケージ(レシピ、ワークシート、教師用ガイドのフルセット教材)を開発する会議である。

前回の金沢合宿も富山笹原班と合同であったが、今回も形式は同じ。3回目ともなるとメンバーも互いに気心が通じてきて、クォリティーを求められる緊張の中にも和やかな雰囲気が流れる。

今回参加は総勢約30名。静岡、愛知、三重、石川連合が堀田チーム。笹原さんチーフの富山チーム。

 

今回は時間が4時間ほど。その中で三十数本のパッケージプランを検討していくことになる。

 

さて、まずは堀田先生からのガイダンス。その中で、パッケージの要件の再確認として、前回の金沢合宿で國香さんが整理したパッケージ7要件(右写真)が提示される。これらの要件を満たしつつ、子どもがある程度以上自学で進められるだけのナビゲーション、論理構造、そしてインターフェイスを持ったワークシートを提案できているかが最終ミーティングでの検討事項となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、富山班のチーフ、笹原さん(左写真)が学習パッケージが指導者と学習者にとってどのような意味合いがあるのかを情報活用実践力の到達レベル(下図)という観点からモデル化し説明してくださった。これは、次に行われる小学校の教科「情報」設計会議の全段にあたるプレゼンでもあった。なるほど、と納得するばかり。

 

30数本のパッケージ提案は積み上げると6〜7センチの束となって机の上を占領する。これをどんどん検討していくが、自分のレシピ案ならばともかく、他の方々の提案を聞きつつ検討を加えるのは、かなり苦しい作業である。

また、一人3分という時間の制約の中で自分のレシピのウリ、改善ポイントを要領良くアウトプットするのも難しい。しかし、できないとコメントする側もどうしようもない。コメントのしようがないのだ。

つまりは、ふだん我々がなにげに子どもに教室で要求していることを、今度は教師自身が要求される場なのだ、ここは!

言い訳できない厳しさはここにある…

 

自分のレシピ検討は中盤。国語科と社会科のクロスカリキュラム的な立場からプレゼンテーション能力およびそれに関する自己評価力を高めることをねらった「鳴かぬなら…戦国の三武将プレゼン大会」というパッケージを提案している。

PCも使わないし、デジカメも使わないというパッケージだが、「紙芝居プレゼン」という東明小の中條さんから教わった発表形式を下地にして発展させたつもりの「情報教育」レシピ。

前回の堀田先生からのコメントでは、大枠は要件をほぼ満たしているがワークシートが殺風景という指摘を受けていた。これはワークシートの構成というより、見た目の無骨さということらしい。

というわけで、今回はレシピの大枠には手をつけず、ワークシートを少しは見栄えよくするために、セルの枠を丸めたりプレゼンする子どもたちの姿のイラストを要所に貼り付けたりして改修。

 

ところが…堀田先生によると、ワークシートを直せと言われた人が陥るパターンとして、「フォントをやたらとポップ体などの目立つものに変えてみる」「枠の飾りをいじくる」「無意味なイラストを貼り付ける」…そんな行動に走るのだそうで、これは今回の自分の行動にぴたりと当てはまって、思わず赤面して下を向いてしまった。どきどきしながらもらったコメントは

「プレゼンの相互評価のワークシートに、その姿を現した子どものイラストを入れるのは、子どものイメージ化のためには有効であり無意味ではない」

ということで、一安心。無意味じゃなかったんだ〜! 本人はあまり意識せずにやっていたという痛い事実は残るが…

一部の紙芝居ワークシートの表裏一体構成がわかりづらく堀田先生にも勘違いされてしまった。やはりきちんとプリント作成時の注意書きとして教師用赤刷りに入れておかなくてはならない。あとは大筋問題なしというコメントをいただいて、約半年間担いでいた荷物がすうっと降りたような気持ちになる。よかった。

 

それにしても、3分から4分で提案→コメントのシークエンスは相当にめまぐるしく、訓練のできていない自分のような者は、追いつくのに必死。

それに引き替え、堀田先生のコメントはまったく無駄がない。要点がきちんと整理され、提案者が一番聞いてほしくないだろう点をずばりと突いてくる。

クォリティーを上げる、そのための努力を惜しまない、でも努力だけでは評価しない!と今回のプロジェクト参加に際し厳しく釘を刺されたが、まったく言葉通りのシビアさである。

しかし、今回堀田先生は前回の金沢合宿よりもかなり言葉が「優しかった」ように感じた。金沢合宿で受けた指摘を反芻しながら、提案者は必死になってレシピをブラッシュアップしてきた。それがよくわかった会だった。堀田先生からも、散会後エレベーターを待ちながら「みんなちゃあんとクォリティー上げて来たよね〜、気持ちのいい会になったね〜」との言葉があった。言葉通り、参加させてもらって本当に良かったと心から思えるプロジェクトだったと思う。

 

というわけで、まだ最終的なフォーマットにそろえての提出が残っているが、実質的にプロジェクトの一つが終わった。ついていけるか、恐る恐るだった去年の秋。しかし、今回でこの仲間との仕事が終わってしまうのが本当にさびしい。こういう気持ちのいい仕事に参加させてもらえるように、モチベーション、自分から発信する姿勢をきちんと維持できるよう、これからの日々を大切にしようと思わされる会だった。

 

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